高鍋町

高鍋町 二ノ丸文教歴史館

Public & Service 広告 Brand architecture コピーライティング Space Design ビジュアルアイデンティティ

私たちは本プロジェクトを通じて、高鍋町の文化資源を再編集し、限られた予算の中でも来館者の増加と関係人口の拡大につながる新たな資料館のあり方を目指しました。資料を保管・展示する場所から、町のアイデンティティを再発見できるハブ(拠点)としてのあり方です。


改修前の歴史館は、資料が長年更新されず、町の歴史と直接関わりのない寄託・寄贈品が増えた結果、倉庫のような印象を与えていました。また、城下町としての景観を残す建物が町内に少なく、住民の間でも高鍋の歴史や文化に対する関心が薄れ、来館者数は減少の一途をたどっていました。

そこで、私たちは高鍋町の掲げる「歴史と文教の城下町」というビジョンを軸に、歴史館の目的を再定義しました。従来の「資料保管・展示」に加え、「歴史を通じて人と人が交流する」ために必要な機能とは何かを見つめ直し、資料館のあり方を再設計しました。名称を「二ノ丸文教歴史館」として刷新したこと、もう一つは2階に特設展示が可能な空間を確保し、ここでは歴史に限らず町の文化発展につながる展示が行えるようにしたことです。また、城下町にある施設であることの象徴として、刀をモチーフにしたビジュアルアイデンティティを開発し、町の誇りとその歴史を現代的に表現しています。

再編集された展示構成では、1階に大名行列の資料を配置し、来館者が高鍋の歴史を時代の流れに沿って体験できるよう、古代から近代までの資料を整理し、新たなサインと共に展示しています。2階では、従来保管されていた民俗資料を移設し、「物語による歴史展示」という新たな空間をデザインしました。秋月家の歴史、江戸期以降の事件や政策、高鍋の三名君、高鍋の教育制度から生まれた偉人たちなど、町の歴史を物語的にたどれる構成としたパネル中心の展示スペースです。その中で家紋や肖像イラストなどの立体加工、中央での透明アクリルによる吊り下げ展示などを組み合わせ、物語を多面的に体験できる空間を実現しています。

プロセスでは、現地調査と歴史研究家との度重なるディスカッションを通じて地域史の流れを再検証し、展示構成を「物語」として編集しました。九州各地の歴史資料館や博物館へのフィールドリサーチを行い、資料館として目指すべき方向を探るとともに、他施設のように潤沢な予算がない中で実現可能な最適解を模索しました。その中で、資料館に不可欠な要素と高鍋でしかなしえない独自性を整理し、「物語による歴史展示」というソリューションに至りました。

また、展示資料はすべて出自を確認し、高鍋町の歴史に深く関わりのあるものを選定しました。町の文化的背景を正確に伝えるためにアーカイブリサーチや関係者ヒアリングも実施し、空間設計・展示デザイン・グラフィック計画を一体的に構築することで、来館者が自然な導線の中で歴史の層を追体験できるよう配慮しました。

刀をモチーフにしたビジュアルアイデンティティは、高鍋藩の武家文化と知の伝統を象徴し、歴史館を地域の誇りと結びつけるために生まれました。ロゴやサイン、展示空間のディテールにこのモチーフを取り入れることで、知性と緊張感を併せ持つ新しい公共文化施設の姿を提示しています。

「物語による歴史展示」空間の設計では、従来の年代順展示では見えにくかった歴史の連続性を、事件や人物を中心にストーリーとして再構成し、アクリル吊り下げ展示など多層的な演出によって、来館者が能動的に読み進めるような体験を実現しました。

歴史的重層性を活かしたサインと導線設計では、時代の流れを示す色や素材のトーンを調整し、展示空間全体に一貫性をもたせることで、来館者が自然な流れで高鍋の歴史を理解できるようにしています。

client

高鍋町役場

date

2024年12月

sector

Public & Service

location

高鍋町

discipline

Advertising
Brand architecture
Copywriting
Space Design
Visual identity

credits

Agency: Tomodachi Ltd.
Creative Direction: Tomohiro Kaji
Copy Writing: Yusuke Matsuda
Art Direction: Tomohiro Kaji
Space Design: Tomodachi Ltd. + UEADf
Graphic Design: Tomohiro Kaji
Photography: Nacasa and Partners